近年、「歩行者中心の街づくり」や「ウォーカブルシティ」といった流れが加速しており、様々な都市において歩行者のための空間整備が行われていく方針を聞くことが多くなり、また実際にそういった整備が行われている場所を見ることも増えているように感じます。
こうした整備の裏には、最も基礎的な調査として歩行者交通量の調査が行われていることが多く、この数値は施策の検討材料や結果指標として使用されます。本記事では、過去から長年にわたって歩行者交通量調査を実施している甲府市での歩行者交通量調査を取り上げ、歩行者交通量調査の結果を可視化する方法について示していきます。
甲府市で行われている歩行者交通量調査
甲府市では、昭和49年から毎年1回歩行者交通量調査が実施されており(すごい!!)、中心市街地の概況を示す重要のな指標の一つとして活用をしています。※参考
ただし、この調査は中心市街地における概況推移の把握を目的にしているためか、公表される資料には、街全体もしくは地点別、時間帯別の歩行者交通量の年次推移しか可視化されておりません。
※以下の図は街全体における歩行者交通量の年次推移
こうした図しかないというのは甲府市に限った話ではなく、いくつかの調査においてこうした傾向がみられる状況だったと記憶しています。(怪しい)
たしかに街全体・地点別における賑わいの推移を把握するという視点では、こうした可視化で十分であると考えられます。一方で、調査結果をベースに施策を検討することや個人が新たにお店を始める等、何かしらのアクションを起こすという視点に立つと、街全体の歩行者の分布を把握したくなります。
そこで、本記事では甲府市の中心市街地における歩行者交通量調査結果の分布が分かる用に可視化を行っていきます。
歩行者交通量の分布を作成
データ作成
データ作成として、大きく以下2つのデータを作成しました。
歩行者交通量調査結果
歩行者交通量の調査結果がPDF形式でしか公開されていないため、csvファイルを作成していく作業をしました。(csvも上げてほしい。。)
csvの作成は、記事作成現在(2023年2月)公表されている最新の情報として令和3年度における調査結果をベースに、2021年11月における地点別の歩行者交通量をcsv形式で作成しています。
この際、地点別のデータは1日の合計値しか公表がなかったため、結果についても1日の合計しか可視化ができませんでした。
調査地点のポイントデータ
歩行者交通量を地図上に示すために、調査地点を示すポイントデータを作成していきます。
この際、上述した歩行者交通量調査結果と対応を取ることのできる何かしらのidを付与すると歩行者交通量の可視化に便利です。
可視化
最後に調査地点のポイントデータに対して歩行者交通量を付与し、交通量のボリュームごとに可視化をしていきます。
面的に可視化することで、街のどこに歩行者が多いかという点やポイントごとの歩行者交通量のデータから大まかな人の流れがも想像をすることができそうです。歩行者中心の街づくりを行うにあたっての課題や施策の検討を行う上では、調査結果を面的に把握することが重要に思います。
画像にすると便利な点もありますが、細かい数値を見ることが難しいのと、特定の日付しか可視化することができないという点で課題があるので、以前に紹介したwebGISの作成方法を活用してwebGISを作成しました。(作成したwebGIS)
webGISとして可視化することで、
・細かい数値の差異を見ることができる
・見る人が可視化するレイヤーや範囲を調整できる
といったメリットが得られます。
今後に向けて
今回の記事では、歩行者中心の街づくりの潮流が始まる前から継続して歩行者交通量の調査を行っている甲府市の歩行者交通量調査結果においてポイントごとの調査結果の推移しか可視化がされていない点に着目をし、歩行者交通量調査の面的な可視化方法について整理しました。
面的に可視化することで、街のどこで歩行者が多いかという点だけでなく、街の中でどのような移動が発生しているかという点について想像することまではできそうな図になることが確認できました。
今回の記事を皮切りに、甲府市中心市街地の歩行者中心の街づくり検討企画として、他のデータを合わせた可視化等行っていきたいと思います。。!
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