3大都市圏のパーソントリップ調査を可視化する方法

パーソントリップ調査データは、オープンデータとして国土交通省のHPで公開されています。こちらの記事ではそれらのデータをBIツール(今回はtableauを使用しました。)を使って可視化する方法をご紹介します。副次的に、3大都市圏(東京都市圏、近畿都市圏、中部都市圏)の交通特性の違いについても触れてみたいと思います。

なお、パーソントリップ調査データについてはこちらの記事をご確認ください。

使用データ・ツール

使用するデータ:国土数値情報

DLデータ

国土数値情報の「交通流動量 パーソントリップ発生・集中量データ」を使用しました。

三大都市圏パーソントリップ調査(東京都市圏、近畿圏、中京都市圏)について、ゾーン毎の目的別・交通手段別発生・集中量がわかるものです。使用データは下記のとおりです。

  • 東京都市圏パーソントリップ調査(S05-a-10_SYUTO_GML.zip) ※調査年次2008年
  • 近畿圏パーソントリップ調査(S05-a-12_KINKI_GML.zip)※調査年次2010年
  • 中京都市圏パーソントリップ調査(S05-a-13_CHUBU-g.zip)※調査年次2011年

近畿と中京は上記の10年前の調査データも公表されているので、年次比較してみるのも面白いかもしれませんね。

データのクセ・留意点

3大都市圏のパーソントリップは、それぞれ年次や調査項目などが異なります。そのため、それらの違いを踏まえて結果を解釈する必要があります。

例えば、調査年次については東京都市圏が最も早く、近畿圏とは2年、中京都市圏とは3年ギャップがあります。年次が変わると鉄道や道路の整備状況が変化している可能性もあるので、注意が必要です。

調査項目については、「自転車」「原付バイク」の有無などで違いがあります。今回は3大都市圏で共通している調査項目(「鉄道」、「バス」、「自動車」、「徒歩」)のみ使用しました。

また、ゾーンやクロス項目によってはサンプル数が少ない場合があることにも留意が必要です。

使用するツール:QGIS、tableau public

今回はshpファイルを扱うので、前処理にQGISを、可視化・分析にtableau publicを使用しました。

可視化までの手順

今回は以下の手順で進めました。

  • 前処理、集計
  • 可視化、ダッシュボード作成

①前処理、集計

本データは都市圏別に調査項目(目的や交通手段の分け方等)が異なるので3大都市圏で共通している項目のみ使用することにしました。(共通項目を洗い出す作業が少し大変です)

また、データが横持ちになっていたので、QGISで3ファイルをマージした後、SHPファイルの中身(ゾーン別目的別手段別発生集中量)をExcelに掃き出し縦持ちに変換しました。変換後のデータはこちら

②可視化、ダッシュボード作成

前処理したデータをもともとのSHPファイルにtableauで接続します。

今回は以下の項目を可視化しました。

  • 交通手段分担率

作成したダッシュボードの紹介

3大都市圏の交通特性の比較

上記で作成したダッシュボードをtableau publicにアップしました。(以下の画像からtableau publicに飛ぶことができます)

ダッシュボードからわかることを何点か記載します。

東京都市圏では自動車よりも鉄道分担率が高く近畿圏と中京都市圏では自動車分担率のほうが高い(特に中京都市圏では移動の約7割が自動車利用) 

②目的構成は3大都市圏で大きく変わらない(近畿圏は業務目的の移動が若干多い。)

東京都心部や近畿都心部では「出勤」における「鉄道」の分担率が高いエリアが広がっている。

「自由」目的での移動は、どの都市圏でも郊外部における「自動車」分担率が高い。特に中京都市圏では名古屋駅周辺を除いて自動車の分担率が7割を超えるエリアがほとんど。

等がわかります。H20~H23のデータなので、最新の状況を示すものではありませんが、もともと持っていた感覚と大きく外れていない結果を得ることができました。

「目的」「代表交通手段」のフィルターのかけ方を変化させることで、上記以外にも新たな発見があるかもしれません。

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